このページでは、文系出身の管理人 ろど・すた子が平成18年度 公害総論の解説をしていきます。
ろど・すた子個人の考え方で解説をしているので、分かりにくい点や間違っている点などがあるかもしれません。そのような解説を発見されましたら、ご連絡を下されば幸いです。
それでは早速、平成18年度 公害総論の解説を始めます!
解説をするにあたって参考にした資料は、新・公害防止の技術と法規2006年版(水質編及びダイオキシン類編)です。
問1 |
環境基本法に関する記述中、(ア)〜(カ)の中に挿入すべき語句(a〜f)の組合わせとして、正しいものはどれか。 |
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この法律は、環境の保全について、(ア)を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の(イ)を定めることにより、環境の保全に関する施策を(ウ)に推進し、もって現在及び将来の国民の(エ)な(オ)に寄与するとともに(カ)に貢献することを目的とする。 |
a : 総合的かつ計画的 e : 健康で文化的
b : 人類の福祉 f : 基本となる事項
c : 基本理念
d : 生活の確保
(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (カ)
(1) e f e a d b
(2) f c a e b d
(3) c f a e d b
(4) f c e a d b
(5) c f a e b d
解説
この法律は、環境基本法 第1条の条文である。第1条の条文は以下の通り。
『この法律は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。』
( )内の語は、赤い太字の部分である。組合せが正しいものは(3) c f a e d b
よって、(3)が正解。
問2
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環境基本法に関する記述中、(ア)〜(カ)の中に挿入すべき語句(a〜h)の組み合わせとして、正しいものはどれか。 |
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この法律において「地球環境保全」とは、人の活動による(ア)又は(イ)、(ウ)、(エ)その他の地球の全体又はその広範囲な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、(オ)に貢献するとともに(カ)に寄与するものをいう。 |
a : オゾン層の破壊の進行 e : 国民の健康で文化的な生活の確保
b : 地球全体の温暖化 f : 人類の福祉
c : 野生動物の種の減少 g : 有害廃棄物の越境移動
d : 海洋の汚染 h : フロンガスの放出の拡大
解説
この法律は、環境基本法 第2条2項の定義である。第2条2項の定義は以下の通り。
この法律において「地球環境保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
( )内の語は、赤い太字の部分である。組合せが正しいものは(1) b a d c f e
よって、(1)が正解。
問3
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環境基本法に規定する環境基準に関する記述中、下線部分の用語として正しいものの組み合わせはどれか。 |
(1) |
政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る(a)環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。 |
(2) |
環境基準が、2以上の類型を設け、かつ、それぞれの類型を当てはめる地域又は水域を指定すべきものとして定められる場合には、その地域又は水域の指定に関する事務は、2以上の都道府県の区域にわたる地域又は水域であって政令で定めるものにあっては(b)政府が、それ以外の地域又は水域にあってはその地域又は水域が属する都道府県の知事が、それぞれ行うものとする。 |
(3) |
環境基準においては、(c)必要に応じて(d)科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。 |
(4) |
政府は、環境の保全に関する基本的施策であって公害の防止に関係するものを(e)長期的かつ有効適切に講ずることにより、環境基準が確保されるように努めなければならない。 |
(1) a, c, e
(2) a, b, d
(3) b, c, d
(4) b, d, e
(5) c, d, e
解説
(1)~(4)は環境基本法 第16条の環境基準についてである。
(1) |
政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る(a)環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。【環境基本法 第16条1項】
よって、(a)は正しい。 |
(2) |
環境基準が、2以上の類型を設け、かつ、それぞれの類型を当てはめる地域又は水域を指定すべきものとして定められる場合には、その地域又は水域の指定に関する事務は、2以上の都道府県の区域にわたる地域又は水域であって政令で定めるものにあっては(b)政府が、それ以外の地域又は水域にあってはその地域又は水域が属する都道府県の知事が、それぞれ行うものとする。【環境基本法 第16条2項】
よって、(b)は正しい。 |
(3) |
環境基準においては、(c)必要に応じて 常に適切な(d)科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。【環境基本法 第16条3項】 よって、(C)は誤り。(d)は正しい。 |
(4) |
政府は、環境の保全に関する基本的施策であって公害の防止に関係するものを(e)長期的かつ有効適切 総合的かつ有効適切 に講ずることにより、環境基準が確保されるように努めなければならない。【環境基本法 第16条4項】 よって、(e)は誤り。 |
したがって、(2) a, b, d が正しい。
問4
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特定工場における公害防止組織の整備に関する法律に関する記述として、誤っているものはどれか。 |
(1) |
この法律は、公害防止統括者等の制度を設けることにより、特定工場における公害防止組織の整備を図り、もつて公害の防止に資することを目的とする。 |
(2) |
特定工場の対象業種は、製造業(物品の加工業を含む。)、電気供給業、ガス供給業及び熱供給業である。 |
(3) |
特定工場の従業員は、公害防止管理者及びその代理者がその職務を行ううえで必要であると認めてする指示に従わなければならない。 |
(4) |
常時使用する従業員の数が20人以下の特定事業者は、公害防止統括者を選任する必要はない。 |
(5) |
全ての特定事業者は、2以上の工場について同一の公害防止管理者を選任してはならない。 |
解説 (1)~(3)は正しい。
(4)公害防止統括者を選任する必要があるのは21人以上からである。よって正しい。
(5)平成17年の法施行規則の改正により、兼務する公害防止管理者の公害防止に係る業務命令系統などが明確化され、実態上も公害防止業務を行い得る場合については、同一人を公害防止管理者として選任することができるようになった。よって、誤り。
具体的な兼務用件については、「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律施行規則第5条第2号ただし書きに基づく基準」に告示されている。
問5 |
特定工場における公害防止組織の整備に関する法律に関する記述中、下線を付した箇所のうち、誤っているものはどれか。。 |
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(1)経済産業大臣及び環境大臣は、公害防止統括者、公害防止管理者若しくは公害防止主任管理者又はこれらの代理者が、この法律、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、騒音規制法、振動規制法若しくはダイオキシン類対策特別措置法又はこれらの法律に基づく命令の規定その他政令で定める法令の規定に違反したときは、(2)特定事業者に対し、公害防止統括者、公害防止管理者若しくは公害防止主任管理者又はこれらの代理者の解任を命ずることができる。
また、(3)都道府県知事(又は政令で定める市の長)は、この法律の施行に必要な限度において、特定事業者に対し、公害防止統括者、公害防止管理者若しくは公害防止主任管理者又はこれらの代理者の(4)職務の実施状況の報告を求め、又はその職員に、(5)特定工場に立ち入り、書類その他の物件を検査させることができる。 |
解説
(1) 経済産業大臣及び環境大臣ではなく、都道府県知事及び政令で定める市長が正しい。
よって誤り。
(2)~(5)は正しい。
問6
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地球温暖化対策として合意された京都議定書の排出削減対象物質として、誤っているものはどれか。 |
(1) |
メタン |
(2) |
一酸化二窒素 |
(3) |
パーフルオロカーボン |
(4) |
クロロフルオロカーボン |
(5) |
六ふっ化硫黄 |
解説
京都議定書の対象ガスはCO2(二酸化炭素)、CH4(メタン)、N2O(一酸化二窒素)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)、PFC(パーフルオロカーボン)、SF6(六フッ化硫黄)の合計6種類のガスである。
よって、(4) クロロフルオロカーボン が誤り。
問7 |
大気汚染物質に関する記述として、誤っているものはどれか。 |
(1) |
SOx、NOx、COなどは、化石燃料の燃焼に伴い排出される大気汚染物質である。 |
(2) |
光化学オキシダントは、大気中の化学反応で生成する二次大気汚染物質である。 |
(3) |
有害大気汚染物質には、ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタンの4物質のみが指定されている。 |
(4) |
石綿は発がん性などの健康影響があるため、石綿等を製造する施設について排出規制が行われている。 |
(5) |
ディーゼルエンジン自動車などからの黒煙やNOxの排出は、大都市での大気汚染への寄与率が高い。 |
解説 (1)、(2)は正しい。
(3) 有害大気汚染物質には、ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタンの4物質のみが指定は誤り。
22の優先取組物質が指定されている。ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタンの4物質は環境基準で指定物質として定められている。
(4)、(5)は正しい。
問8 |
大気汚染の現状に関する記述として、誤っているものはどれか。 |
(1) |
二酸化硫黄については、すべての自動車排出ガス測定局で環境基準が達成されている。 |
(2) |
一酸化炭素の大気への排出量は減少し、すべての測定局で環境基準が達成されている。 |
(3) |
大気中の浮遊状粒子物質の環境基準達成率は、一般環境大気測定局の方が自動車排出ガス測定局よりも高くなっている。 |
(4) |
二酸化窒素の環境基準は、すべての測定局で達成されている。 |
(5) |
大気中のトリクロロエチレンの環境基準は、全ての地点で達成されている。 |
解説 (1)~(3)は正しい。
(4) 二酸化窒素の環境基準は、自排局(自動車排出ガス測定局)の年平均値は0.029ppmで環境基準達成率は85.7%。自動車NOx・PM法の特定地域での自排局における環境基準の達成率は76.4%。よって、誤り。【新・公害防止の技術と法規2006年版より引用】
(5) 正しい。
問9 |
水質汚濁の現状に関する記述として、誤っているものはどれか。 |
(1) |
公共用水域水質における人の健康の保護に関する環境基準(26項目)の達成率は、平成14、15年度において90%に達していない。 |
(2) |
生活環境の保全に関する項目であるCOD又はBODの環境基準達成率は、平成14、15年度において高い方から河川、海域、湖沼の順である。 |
(3) |
湖沼、内湾、内海などの閉鎖性水域では、流入した汚濁物質が蓄積しやすい。 |
(4) |
地下水の水質汚濁に係る環境基準超過率が最も高いのは、平成11〜15年度において硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素である。 |
(5) |
海洋環境では、平成14、15年において油による汚染が最も多く発生している。 |
解説
(1) 平成14、15年度の公共用水域水質における人の健康の保護に関する環境基準(26項目)の達成率は99.3%である。よって、誤り。
(2)~(5)は正しい。
問10 |
騒音・振動公害に関する記述として、誤っているものはどれか。 |
(1) |
騒音や振動を受けたとき、それに対する反応は、受けた人の主観によるところが大きい。 |
(2) |
騒音や振動は、一般に発生源からある程度離れると、ほとんど問題とならない。 |
(3) |
騒音と振動の大きさは、共にdB(デシベル)という単位で表される。 |
(4) |
自動車単体から発生する騒音について規制値がある。 |
(5) |
航空機騒音と新幹線鉄道騒音に対しては、同じ環境基準が適用されている。 |
解説 (1)~(4)は正しい。
(5) 航空機・新幹線鉄道騒音については、その特性に応じて別途環境基準又は指針が設定されている。よって、誤り。
問11 |
廃棄物に関する記述として、正しいものはどれか。 |
(1) |
産業廃棄物の排出量の多い上位3業種は、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「建設業」、「パルプ・紙・紙加工品製造業」である。 |
(2) |
バーゼル条約は、有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関する条約である。 |
(3) |
循環型社会システムの構築を目指して3Rの取組が求められているが、3RとはRecycle(リサイクル)、Reuse(再利用)、Recovery(回収)の頭文字である。 |
(4) |
廃棄物は、一般廃棄物、産業廃棄物、有毒・有害廃棄物の3種類に分類されている。 |
(5) |
一般廃棄物(ごみ)の排出量は、国民一人一日当たり約1000キログラムである。 |
解説
(1) 産業廃棄物の排出量の多い上位3業種は、「① 農業」、「② 電気・ガス・熱供給・水道業」、「③ 建設業」である。よって、誤り。
(2) 正しい
(3) 3RとはReduce(発生抑制)、Reuse(再利用)、Recycle(リサイクル)の頭文字である。よって、誤り。
(4) 廃棄物は、一般廃棄物と産業廃棄物の2種類に分類される。よって、誤り。
(5) 一般廃棄物(ごみ)の排出量は、平成14年度 国民一人一日当たり1111gである。(平成元年以降 約1100g)よって、誤り。
問12 |
ダイオキシン類に関する記述として、誤っているものはどれか。 |
(1) |
ダイオキシン類は、非意図的に生成され、分解されにくい化学物質である。 |
(2) |
大気、水質、水底の底質及び土壌に関して環境基準が設定されている。 |
(3) |
濃度は、等価換算毒性量(TEQ)として換算された値として表示される。 |
(4) |
廃棄物焼却炉は、主要な発生源である。 |
(5) |
人の摂取量は、大気吸入によるものが大半である。 |
解説 (1)~(4)は正しい。
(5) 人体には食物を通じて摂取させる量が大半を占める。よって、誤り。
問13 |
ISO 14001 (JIS Q 14001)による環境マネジメントに関する記述として、誤っているものはどれか。 |
(1) |
組織は、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを日常的なマネジメント活動の基本としなければならない。 |
(2) |
組織の環境側面とは、組織の活動の環境に対する影響が直接生じる可能性のある部分のみを指す。 |
(3) |
環境マネジメントシステムは、全体的なマネジメントシステムの一部に位置付けられる。 |
(4) |
環境マネジメントシステムは、環境方針を策定し、実施し、環境側面を管理するために用いられる。 |
(5) |
ISO 14001に基づく環境マネジメントシステムの第三者認証取得件数は、日本が世界一である。 |
解説 (1) 正しい
(2) 組織の環境側面とは、組織の活動の環境に対する影響が直接あるいは間接的に生じる可能性のある部分のみを指す。よって、誤り。
(3)~(5) 正しい
問14 |
ISO14040 (JIS Q 14040) に規定するライフサイクルアセスメントを構成する四つのステップに含まれないものはどれか。 |
(1) |
ライフサイクル影響評価 |
(2) |
ライフサイクル解釈 |
(3) |
ライフサイクルアセスメント従事者の選定 |
(4) |
ライフサイクルイベントリー分析 |
(5) |
ライフサイクルアセスメントの目的及び調査範囲の設定 |
解説
ライフサイクルアセスメント(LCA)は次の4つのステップを踏んだ活動となっていなければならない。
- LCAの目的及び調査範囲の設定
- ライフサイクルインベントリー分析:対象とする製品システムのライフサイクルにおける入出力の取りまとめ、並びに定量化
- ライフサイクル影響評価:製品システムの潜在的環境影響の大きさと重要度の把握と評価
- ライフサイクル解釈:LCAの目的や調査範囲に整合化しつつ、ここまでのLCA段階で得られた知見を統合
よって、(3)が誤り。
問15 |
リスクマネジメントに関する記述として、誤っているものはどれか。 |
(1) |
リスク特定は、リスクの原因となるリスク因子を識別し、網羅し、特徴付けるプロセスである。 |
(2) |
リスク因子の人体への影響を明らかにするリスク算定法として、リスクの発現に係る用量-反応関係の同定は代表的な方法である。 |
(3) |
算定されたリスクは、リスク基準と比較して評価されるが、用量-反応関係に基づいて算定されたリスクの評価には不確実性はない。 |
(4) |
残留リスクとは、適切なリスク対応やリスクコントロールを施しても残ってしまうリスクのことをいう。 |
(5) |
リスクコミュニケーションによって、リスクの回避や低減、リスク原因の特定への寄与などが期待できる。 |
解説 (1)~(2)は正しい。
(3) 算定されたリスクは「リスク基準」と比較される。これが「リスク評価」である。社会的に考えてどの程度のリスクを受容するかについて、そのリスクの背後にある利益にも依存する。また、単純に安全性という観点だけで考えてみても、リスクの受容できない水準については種々の説がある。
例えば「通常受け入れているリスクより大きいリスク」、「自然状態を超えるリスク」、「人体影響の可能性のあるリスク」、「人体影響が既に検証されているリスク」など。
よって、誤り。
(4)~(5)は正しい。
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