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第52回 下水汚泥の燃料利用について(日経エコロジーを読んで)

 2009年6月号の日経エコロジーを読んで、興味深い記事を見つけました。それは、『[下水汚泥の燃料利用]安定供給見込めるバイオマス、炭化で石炭火力での利用進む』と言う記事です。


 記事は、下水を処理した後に出る下水汚泥を炭化し、石炭火力発電所で利用が始まっているというものでした。


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 かつて下水処理場では取り除いた汚泥の一部を主に肥料に使っていたものの、大部分はそのまま最終処分場に埋め立てていた。悪臭や処分場の容量不足が問題になると、汚泥を焼却し、焼却灰の埋め立てが主流になっていった。1990年代後半、資源の有効活用が求められるようになり、焼却灰をセメント原料に使い始める。80年代後半に15%程度だった下水汚泥の再資源化率は、無機分を中心に2006年度に74%にまで達した。(日経エコロジー本文より引用)
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 汚泥の再資源化率が74%にまで達していたとは知りませんでした。それでも、利用されていない資源が眠っているそうです。それが、有機物で、下水汚泥に含まれる有機物の約8割を利用せずに埋め立てているそうです。


 この有機物を、CO2を増やさないバイオマス燃料として使用し、化石燃料由来のエネルギーと置き換えればCO2が削減でき、更に下水道普及率は増加が予想されているので、汚泥の安定供給も見込めているので、温暖化対策として下水道汚泥に対する期待は高いようです。


 記事を更に読んでいくと、下水汚泥を燃料に使う方法は2つあると言われていました。@メタンガスを取り出す方法A固形燃料にする方法の2通りのようです。


 まず、@のメタンガスを取り出す方法は「消化」と呼ばれる技術は、数十年前から採用されていたようです。ただし、従来はメタンガスを燃料というよりは、埋立処分の前に有機物を分解することで汚泥を減量することが主な目的だったようです。
 さて、このメタンガスを取り出す方法は処理場の外で燃料として使用するのは難しいようですが、Aの固形燃料にする方法ならば、取り扱いやすく、運びやすいので処理場外の石炭火力発電所などで使用されているそうです。
 
 
 下水汚泥を有効利用すると温暖化対策に絶大な効果がありそうですね。


 さて、本文の結びにこうありました。

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 現在、燃料として活用される下水汚泥は発生量の1%程度にすぎないが、低コストで安定供給が見込める自然エネルギーとしてとして認識が広がれば、経済性の高い温暖化対策として利用が加速しそうだ。(日経エコロジー本文より引用)
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 技術がさらに向上し下水汚泥を有効利用できれば、温暖化対策にとって「下水汚泥=宝の山」になる日も、そう遠くないかもしれませんね。


 
(管理人 ろど・すた子   2009.06.01掲載)


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