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第46回 旧約聖書「出エジプト記」の10の災いの本当の原因とは!

 2009年3月号の日経エコロジーを読んでいて、興味深い記事がありました。それは「名作の中の環境史」の特集で『【旧約聖書・出エジプト記】「10の災い」の本当の原因』についての記事です。


 以下、あらすじの引用です。
『出エジプト記』は、エジプトで奴隷にされていたヘブライ人を、モーセが苦難を乗り越えて国外に脱出させる波瀾万丈の物語だ。その解放を阻むファラオに、神は「10の災い」を繰り出して圧力をかける。この災いとは何だったのか。古来さまざまな解釈が試みられてきた。


 モーセについては、映画などになっているのでご存知の方も多いかもしれません。十戒 とかが有名ですかね。


 さて、この特集ではエジプトに降りかかった「10の災い」を環境的な面と科学的な面からの解釈がなされていました。
 以下、本文を抜粋して引用しています。
【第1の災厄-血の災い】
  ナイル川の水が血に変わり、魚が死にナイル川の水が飲めなくなった。これは「赤潮」現象で説明がつく。赤潮は淡水域でもよく発生し、「血の災い」はその色から見て、水が赤褐色を帯びる渦鞭毛藻類の異常発生であろう。
【第2の災厄-蛙の災い】
無数の蛙がはい上がってきてエジプト中を覆った。蛙の卵やオタマジャクシを捕食している魚が赤潮で減り、しかも死んだ魚が岸に打ち上げられて蛙の好物のハエが大発生し、それが大増殖を招いたのではないか。
【第3の災厄-ぶよの災い】
ぶよが全土に広がって人と家畜を襲った。もしも蚊と解釈するなら、ヌカカだろう。夏の水辺などをひと塊りになって飛んでいる。
【第4の災い-あぶの災い】
それでもいうことをきかないファラオに、次はあぶの大群を送り込む。アブ(虻)とハエ(蝿)は、よく似た種類があり、じび場合はハエの可能性がある。
【第5の災い-疫病の災い】
紙が次に打った手は、家畜の疫病の流行だ。野にいるエジプト人の家畜はすべて死んだが、ヘブライの人々の家畜は1頭も死ななかった。「野にいる家畜」を「放牧している家畜」と解釈すれば、炭疽菌の流行と考えられる。アフリカから中東にかけてしばしば流行し、、家畜や野生動物が大量に死んでいる。「エジプト人の家畜だけが死んだ」ということは、ヘブライ人は囲いのなかで飼っていたので感染しなかった、という説明もある。
【第6の災い-はれ物の災い】
膿のでるはれ物が人と家畜に生じた。この病気は天然痘を指すのではといわれてきた。天然痘ウイルスは強い感染力を持ち、全身に膿疱ができ、死亡率が高い。
【第7の災い-雹の災い】
雷と雹を下し、稲妻が大地に向かって走った。アフリカや中東で局地的に激しい雹が降るのは、それほど珍しいことではない。
【第8の災い-いなごの災い】
次に送り込んだのはいなごの大群だった。「イナゴ」と「バッタ」がしばしば混同されてきた。大発生するのはバッタの方だ。北アフリカでは毎年のように大発生して、巨大な帯となって移動していった跡には、作物や草原がまったく姿を消すほど貪欲だ。
【第9の災い-暗闇の災い】
次に紙が打った手は、エジプトを闇に閉ざすことだった。3日間全土に暗闇に包まれた。皆既日食では長すぎるので、サハラ砂漠から吹き下ろしてくる砂嵐であろう。
【最後の災い-初子の死亡】
「エジプト中の初子(第1子)は皆死ぬ」ろ神は最後のだめ押しをする。ヘブライ人を除くファラオの初子から家畜の初子までことごとく死んだ。
説明の難しい災いで、いろいろとこじつけ説が出されてきた。ケンブリッジ大学のハンフリーズ教授は、「エジプト人が雹の嵐の後に収穫した大麦は濡れていたためにカビが発生し、カビが出す猛毒のマイコトキシンの中毒ではなかったか。初子だけが死んだ理由は、初子は家庭内で特権的であり、お腹いっぱい大麦のパンを食べられたからだ」(???)


 以上のように、環境面と科学的な面から解説していました。
 ちょっと、最後の災いについては、環境面や科学的な面での説明が難しいようで、こじ付け的な説明になっていたような気がしますが。。。


 さらに読み進めると、火山の研究者の解釈も紹介されていました。火山の研究者が言うには、「10の災い」のほとんどは火山噴火で説明がつくそうです。例えば、第1の災い-血の災いは噴火に伴う地震で湖底の鉄分がかき回されて酸素に触れて酸化し赤茶色に染まったそうです。


 なるほど、いろいろな解釈ができて面白いですね!


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(管理人 ろど・すた子   2009.03.31掲載)


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